インスペクション(建物診断)、瑕疵保険、住宅履歴情報を利用して中古住宅の価値を確実にアップする
築年数20年、木造住宅という不利な点があるにも関わらず建物自体に価値があると証明付けたことで、査定額0円から800万円に価格を上げて売却できた成功事例があります。では、なぜ高い値をつけた上で売却に成功したのかでしょうか?ここでは建物の価値を高めるために行うべき3つの方法をご紹介します。
目次
買い手の不安を解消する
できるだけ高値で売却したい・・・不動産を売りたいと考えている方なら誰もがそう思うことではないでしょうか。しかし建物の価値は築年数を重ねていくほど下がってしまう、これには抗えません。
価格が下がるだけならまだいい方で、最終的に価格がつけられる状態ではなくなってしまうこともあります。それはやはり、中古住宅という不動産に対して「買いたい」と考えている側が、その物件どうなの?という不安から購入を躊躇してしまうことにあるからです。それならば、「この建物は安心できる物件ですよ」という証明をしてあげれば良いのです。
築年数が経過していても建物自体の価値が認められれば、中古住宅を購入しようとしている人の不安は解消されるはずですし、ならば購入しよう、と考えを改める人も出てきます。
建物の価値を証明するには
インスペクション、瑕疵保険、住宅履歴情報、この3つが「この建物は安心できる物件」という証明ができる方法です。3つの方法をすべて利用しても費用は10万円から15万円程度と安価です。
先に挙げた例のように査定額が格段にアップすることは稀ですが、プラス200万円、300万円の例なら少なくありません。
①インスペクションについて
インスペクション(inspection)とは検査、点検、精査というような意味を持っており、不動産や住宅におけるインスペクションとは「建物診断」を指しています。建物の状態が健全であるかどうかをチェックします。
専門家によるインスペクション
住宅設計や管理のプロである、建築士や検査師など(インスペクター)が住宅を診断します。欠陥やリフォームの必要性がある部分などが指摘されますので、だいたいの修繕費用を知ることができます。住宅売却前など欧米諸国では常識となっているサービスです。
診断箇所
目視により各所劣化の状態を確認します。(一次診断)
- 屋根
- 外壁
- 室内
- 小屋裏
- 床下など
特殊機材などを使用して詳細に診断を行う場合は別途料金が発生する仕組みになっています。(二次診断)
住宅形態による診断内容
戸建ての場合
基礎工事の状態などについて詳細をチェックします。
- ベタ基礎(基礎の形が床全体を支えている)であるのか
- 布基礎(基礎の形が平均台のようなフォーム)であるのか
- 鉄筋が配合されているか
- 木造部分の腐食がないかどうか
- シロアリによる被害がないかどうか
マンションの場合
水回りや既存の設備などをチェックします。
- 給排水管の状態
- 換気扇設備の状態
- 雨漏り、水漏れがないか
- 床に傾きが見られないかどうか
インスペクションを行う第三者機関
NPO法人日本ホームインスペクターズ協会
https://www.jshi.org/
一般社団法人住宅管理ストック推進協会
http://www.jyukan.org/
申込後、検査日時を決定すればインスペクションが行われます。依頼人立会いの下で行われるので直接指摘箇所を確認することができます。
費用と時間について
5万円から10万円程度が目視で行われる一次診断の概算費用と言われています。所要時間は100平方メートル程度の建物面積ならばだいたい2時間から3時間程度です。但しインスペクションを請け負う会社によって費用設定は異なりますので確認が必要です。
インスペクションは最大の安心材料となる
インスペクションが終了すると、診断結果の詳細が報告書として送られてきます。耐震性に欠けるといったような重大な欠陥があった場合には、再度診断を受けたり、補強するためのリフォームをする必要があります。インスペクションの結果は、住宅を買う側にとっても購入意思決定のための材料となります。
築30年経過の木造住宅でも、インスペクションで外壁は5年以内に塗替える必要がありとされましたが、構造に欠陥も見つからず大きな問題がなかったという結果が出ました。買い手もこのような詳細情報が手元にあればリフォーム費用の目安もわかりますし、何より安心して購入に踏み切れるというものです。
②瑕疵保険について
瑕疵保険とは住宅を購入した買い手が、何らかの瑕疵=欠陥を見つけた場合や他人の権利などが絡み制限が課されているような場合に、売り手に対して損害賠償を請求することができる保険です。もちろん売買契約を解約することもできます。
通常、新築物件はハウスメーカーなどの売り手が瑕疵保険をつけることが義務となっています。その期間は10年間ですので、その間に何らかの瑕疵があれば、瑕疵保険が有効となります。中古の建物に関しても2年間の保証を付けるよう義務付けられています。
中古住宅の問題点
実際のところ、個人間での中古住宅の売買に関しては、瑕疵担保保証をつけるか否かは売り手と買い手の合意で決められており、保証なしで契約されていることが多いのが実情です。売り手側は売りっぱなし、責任は取りませんというスタンスをとっているためで、これでは買い手は安心して購入には踏み切れません。
既存住宅売買瑕疵保険とは
先の問題点を解決すべく登場した中古住宅の瑕疵保険で、売買成立後に発生した瑕疵に対して保証する保険です。
- 保障期間最長5年間
- 1000万円までの保証費用
- 構造耐力上欠かせない部分(基礎や柱)
- 雨水などの侵入を防ぐ部分(外壁や屋根)
- 給排水管なども追加可能
- 住宅ローン減税も受けられる
このような保証がついているとわかれば、買い手は安心して購入できますね。また、売り手側に対する信用度も高くなるでしょう。
瑕疵保険に加入するには
専門機関に検査してもらった上で、補修すべき部分があれば修繕し、再度検査を受けて適合しなくてはなりません。
瑕疵保険の登録事業者(専門の検査機関)などの検索サイト
http://search-kashihoken.jp/
ちなみにインスペクションのサービスを提供している会社の中には、オプションで瑕疵保険検査を行っているところもあります。
費用と時間について
基礎のひび割れがないかどうか、外壁の防水措置は良好か、小屋裏の状態などを確認し、だいたい1時間から2時間程度で検査が終わります。数日後に検査結果が送られ、瑕疵保険に加入可能か否かがわかる流れになります。
瑕疵保険の検査、インスペクションと両方可能な会社であれば、だいたい10万円以内のコストです。瑕疵保険加入には、保険料4万円から8万円が別途かかりますが、支払いに関しては売り手でも買い手でも問題ありません。
③住宅履歴について
住宅に関する様々な情報をまとめたものです。いわば自動車の整備記録の住宅版といったところです。
- 住宅の性能、建築材料
- 誰が設計しいつ施工したのか
- 修繕や改修の内容
- 維持管理、メンテナンスに関して
住宅履歴があるとその建物が今までどのように管理されてきたか、詳細な性能に関しても評価することができるので買い手にとっては購入の決め手となる材料になります。また売り手である建物のオーナーが、これまで建物の価値を維持するために努力をしてきたという姿勢も見られるので信頼も獲得できるでしょう。
国が進める政策
中古住宅の流通を更に活気づけるために、国土交通省では住宅履歴の情報整備を一つの政策として推し進めています。「長期優良住宅」認定を受けると、住宅履歴を保存するようにと定められています。また、2015年6月より神奈川県横浜市では不動産総合データベースの運用を試行しています。
住宅履歴情報の登録も含め、不動産取引に欠かせない情報をまとめたこのデータベースの活用は、2018年までに全国で運用できるように進められています。
住宅履歴サービスに登録するまでの流れ
新規で住宅履歴を登録するには、住宅に関するすべての情報を集める必要があります。
新築の場合
- 建築確認書類
- 住宅性能評価書
- 各種図面
- マンション管理組合の規約
- 長期修繕計画など
維持管理段階の場合
- 維持管理計画書
- 点検、診断時の書類
- 修繕工事、改修リフォーム時の書類
- 図面や写真類
- マンションの共用部分にいての情報
これらの情報を住宅履歴情報サービス機関である不動産会社、設計事務所などに電子データとして管理してもらう流れになります。
住宅履歴情報サービス機関を検索するには、「一般社団法人住宅履歴情報蓄積・活用推薦協議会」のウェブページから探すことができます。
http://www.iekarute.or.jp/
費用について
年間1000円程度の安価な費用からあるので、住宅を売却する際には住宅履歴情報サービスに登録しておくことをお勧めします。
最後に
不動産を売却するならまずは建物の価値を高めることが重要です。そのためには上記に挙げたインスペクション(建物診断)、瑕疵保険、住宅履歴情報、を利用し、しっかりとその価値を証明しておくこと、これが買い手にとっても魅力的に映る不動産になり、有利に売却を進めることにつながります。
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