「売れない不動産」をすぐに売却・有効活用する方法
活用しにくい住宅の売り方、貸し方
住宅の状態が悪かったり、立地などの条件が悪くて敬遠されているなど、思うように売れなかったり貸せなかったりするケースがあります。
そうした売りにくい住宅を手離すにはどうしたらいいのか、失敗しやすい活用術や、誤解しやすい対策についてまとめました。
不動産買取業者を利用する
手っ取り早く、楽に売却に成功する方法
不動産買取業者に依頼すれば、売れずに保有し続けている空き家だったり、遠方にあって手入れができずに荒れている家だったり、処分が必要な家財道具が積まれていたりしても、売却のために必要な処置を全て業者に一任することができます。
多くの場合、高く売れることはないのですが、売却自体は、比較的簡単にできてしまいます。
また、国による中古住宅活用に向けた取り組みの一環として、2015年の税制改正で買取業者への不動産取得税が軽減されるなど、買取業者を支援する制度が整えられてきているので、買い取りに積極的な業者も今後増えてくることでしょう。
どんな住宅でも買い取ってもらえるようには行かないかも知れませんが、荒れ放題で顧客にはとても見せられない状態の住宅や、上下水道に大規模な修繕が必要といった、売却を仲介する不動産業者が扱いに二の足を踏むような物件であっても、買い取りが成立するケースが多くなっています。
閉め切っていてカビ臭かったり、畳や屋根の状態が悪く、売るためにはリフォームが必須な状態であっても、買取業者に任せることができます。
仕事で平日に時間が取れない人や、体力的に厳しいご老人、子育てに忙しい主婦の方でも、手間暇かけずに、家を売ることができます。
業者の見積り価格を鵜呑みにしない
業者に任せる場合、売却価格が低くなってしまうことはそれなりに覚悟しておかなくてはなりませんが、条件を鵜呑みにしてはいけません。
業者としては、買い取り価格は少しでも低いほうが利益も大きくなるので、土地建物のさまざまな欠点を並べ立てて値引きを交渉してくるでしょう。
そうした欠点の多くは事実でも、買取業者にとっては、転売できる商品であることに違いはないので、提示された金額そのままで売ってしまうのは、損することになるかもしれないのです。
買取業者に依頼する場合は、見積りを複数社に依頼して納得できる価格を探りましょう。
ただし、業者の出す見積り価格には、リフォーム費用だけでなく、登録免許税、不動産取得税、維持管理費、広告費、譲渡所得税などの買い取り費用がかかっているので、成約価格と初期の売り出し価格には、2~4倍の開きがあります。
後になって、1,000万円で売った家が1,500万円で売り出されていた、とおどろく人も多いのですが、必ずしも悪質とは言い切れません。
希望する価格になるまで待つのも手
数社の見積りをくらべても、納得できる買い取り価格がないというケースもあると思います。
そうした場合には、「その価格では売れません」と一旦断って、希望する価格で買い取ってもらえる時期を待つのも良いでしょう。
業者の都合しだいで買い取り価格が上がることも実際、普通にあることです。
「他の買い取り物件がないので」とか、「決算期なので」といった理由で、今なら高く買い取れますという連絡が、数か月後か、早ければ数週間で入ってくることもあります。
気を付けなくてはならないのは、空き家は数か月も放置しておくと、想像以上に状態が悪くなることです。
雑草は、梅雨から真夏のあいだにおどろくほど伸びてしまうので、草刈り、除草剤の散布などに気を配りながら連絡を待ちましょう。積雪や台風、豪雨などの心配がなければ、売却に急ぐ必要はないかもしれません。
それでも半年、1年と空き家にしておくと、確実に建物は劣化するので、半年をめどに空き家の様子を見たほうが良いでしょう。
駐車場として活用する場合
費用回収の難しさ
資産である土地を有効活用する手段のひとつとしてもっとも一般的なのが駐車場です。解体費以外の初期投資が少なく、維持に必要な負担も少ないので、人気の活用術です。
ただし、建物の解体に見合った収入を得ることができるかどうかは気を付けなくてはなりません。正方形で60坪の敷地では、通路部分を除いて、普通車5台と軽自動車4台程度のスペースです。
仮に、1か月の単価を
-
【普通車・月/駐車料5000円5台 年間 30万円】
【軽自動車・月/駐車料4000円4台 年間 19万2千円】
で満車とすると、年間49万2000円の賃料収入となります。
初期費用として、住宅の解体費に約100万円、植木などの伐採と処分、整地費用の負担、さらに毎年、維持費や固定資産税もかかります。
毎月満車になったとしても、固定資産税は住宅の解体で6倍になっているので、費用の回収まで5年から7年はかかるでしょう。
当然、利用者が少なければ、回収までにはさらに時間がかかり、資産の有効活用とは言えなくなってしまいます。
狭小地に適した活用法
駐車場としての活用に適しているのは、空き家となっている狭小地です。
現在の建築基準法では、建物の敷地は4メートル以上の幅の道路に2メートル以上接していなくてはならないという、いわゆる接道義務を課しています。
元来は災害対策用の避難経路を確保する目的で決められた規定ですが、これを満たしていない土地は住宅の建て替えができません。古い市街地などにある狭小地の場合、この基準を満たしてないケースが珍しくありません。
不動産業者にしてみれば、建て替えできない土地は住宅用地として価値がないので、買い取り専門業者であっても敬遠してしまいます。しかし、駐車場として活用するのであれば、こうした土地がもっとも効果的なのです。
狭い土地がひしめいているような区域は、交通量が多かったり、居住地としての需要があるケースが多いので、駐車場利用者の需要が高いのです。
不動産業者や税理士などとも相談するべきですが、建て替えができない土地でしたら、最終的な活用法であることを念頭に入れておくと良いでしょう。
また、こうした狭小地への活用以外にも、相続対策として駐車場に活用する方法もあります。
アスファルトで舗装して駐車場として利用していると、土地の評価額が下がり、相続税を節約できるのです。コインパーキングなど一括賃貸にすれば、より一層節税になりますので、興味のある方は不動産会社に相談してみると良いでしょう。
売れない不動産は、更地にしても売れない
駐車場への活用と同じくらいよく知られている手法として、建物を解体し更地にしてから売るという方法があります。
ただ、これは「売れにくい不動産」を早く売る方法であって、「売れない不動産」を売れるようにする効果はありません。
もちろん、売れる土地であれば、早いか遅いかの違いはあれど、売却は可能です。建物や庭木、門塀が残っていて敷地が狭く見えたり、雑草や古い建物があって土地を有効活用できない場合、更地にするだけでいい土地に見える効果があります。
また、住めない状態の建物や特定空き家に指定された建物の場合は、解体して更地にした方がいいでしょう。しかし、とりあえず更地にするのはリスクがあります。
土地を自由に使いたいと思っている人や企業がいれば高く売れる可能性がありますが、売れなければ翌年から土地の固定資産税が上がってしまいます。さらに解体費も数十~100万円単位が必要ですから、慎重に決断すべきです。
築後30年以上の売れない建物はリフォームしないで更地にすることも検討
具体的にはどのような住宅なら、更地にした方がいいのでしょうか?
有効な住宅は次のような住宅の場合です。
- 築後30年以上経過して寿命をむかえた建物
- 大き過ぎて修繕費が莫大になる建物
- 立地がよくて整形すれば分譲できる敷地なのに売却査定の低い場合
売却査定が低い場合というのは、法定耐周年数を超えた住宅や、旧耐震基準で建てられた住宅のことです。昨今の地震から買主を見つけることが難しくなっていますので、壊してから売却するのも一つの手です。
ただし、売れないと翌年から特定空き家や駐車場と同じように、固定資産税が最大6倍の土地になりますので、不動産会社等と綿密な相談が必要になります。
駐車場にして、相続税を節税することも
アスファルトで固めて駐車場にすることで土地の評価額を下げ、相続税を下げることができます。コインパーキング等の一括賃貸にすれば、さらに相続税の評価を下げることができますので、気になる方は不動産会社に相談してみてください。
法定耐周年数とは、事業用建物への税務用に決められた基準ですが、現在はこの基準に基づき住宅の価値が決められるのが一般的です。
リフォームをするかしないかの判断
それでも、そうした住宅をリフォームすれば活用できるのではないかと考える方もいるでしょう。ですが、はっきり言って、管理不足の古い建物をリフォームしても、住居としての価値はあまり高くなりません。
東京から静岡周辺の過ごしゃすい気候の都市にある、気密性の高い建物なら別ですが、そうでなければ別荘利用を除き、夏期・冬期の生活には難があります。住宅というものは、ある程度年月が経過してしまうと、資産価値はほとんどないと判断されてしまいます。
マンションの場合、管理組合が管理をするため劣化が放置されることは少ないのですが、戸建住宅だと定期的な修繕や管理が忘れられがちです。
そうなると、いざ売り出そうと思っても、大規模な修繕が必要になってしまいます。
屋根材や上下水道管の劣化が進んでいると新築した方が安いぐらいなので、売れないのは当然です。もちろん、古いからといって必ずしも売れないわけではありません。気候に合わせて維持管理がきちんと行われてきた住宅であれば、修繕費はそこまでかかりませんし、建て替えるよりも安上がりになることも少なくありません。
リフォームは難しい、別の方法を考えたいとなったら、まずは、気候の悪い時期を除いて、半年ほど売りに出してみましょう。
そしてそれ以上売れなかった場合は、建物を解体して更地として売却することを検討してみましょう。実際に解体しなくても、解体費相当の値引きをして売却すれば買い手がつくこともありますので、解体前に不動産会社に相談してみることをおすすめします。
一番良くないのは、物件を解体したのに売れない場合
好ましくないのは、
「解体費を負担して固定資産税が増えたのに売れない」
という状況です。
一般的に住宅の解体費用は、
- 1坪3万~4万5000円程度。戸建住宅で150万~200万円程度
は解体費として必要です。トラック等が横付けできるほどのスペースがあるかや、近隣の建物との近さなどによっても変わります。
さらに、地域や土地の状態などで金額は変わりますので、正確な金額を把握するためには、解体業者による解体費見積りと、不動産業者(建築業者)の買取り見積りが不可欠です。また、樹木の処分や整地費用も必要ですので、これらも個別で見積りをとりましょう。
更地貸しで有利な土地
更地にして有利なのはどのような土地なのでしょうか?当然、首都圏や中核都市なら売却も賃貸も需要がありますが、立地がよければ人口密集地でなくても賃貸できることがあります。
意外に有利なのが、幹線道路沿いの敷地です。近年は、そうした土地がコンビニ用地や老人施設用地として需要があるので、希望する業者を見つけやすくなっていますし、不動産業者に聞けば購入したいと話を持ちかけられることもありえます。
住宅用地への軽減措置がなくなる分、固定資産税は上がりますが、更地貸しは長期的な投資がいりませんし、需要があるなら賃料収入でまかなえるはずです。こうした土地をお持ちであれば、不動産業者などと相談してみてはいかがでしょうか。
古民家再生をすすめる建築業者は危険
近年は古い建物や古民家再生を誼う建築業者が増えていますが、多額のリフォーム費用が必要な場合は、費用を回収するのは困難ですし、購入者は極めて少ないのが現状です。
建物を褒めてくれる建築業者へ「あなたに売りますよ」と言っても、「もったいない」とか、「身の丈に合わない」などと言われるのがオチで、要は自分では欲しくないというのが本音です。
結局は修繕やリノベーシヨンを勧められるわけですが、業者はそのリフォームや修繕の仕事をとりたいだけです。古い建物の修繕は非常に高額になるので、業者からすればおいしい話ですが、売却時にこの費用を上乗せしようとしても、立地が悪ければ購入者はつかないでしょう。
もちろん、そのままだと台風の季節や、降雪期に大きく劣化することがありますので、放っておくのは危険です。
古い住宅の対策としては、無理にお金をかけずに、適正価格より安めであっても売却するか、解体して土地を売ったり貸したりすることをおすすめします。
田舎暮らし希望者に売る方法
以前は考えられないことでしたが、ここ数年は田舎暮らし関連の本やテレビ番組の影響で、都会から田舎へ移住を考える人が増えている地域があります。
都会よりも生活費が安く、自家製の野菜を食べながら心にゆとりをもって生活ができるとして、年金暮らしには夢の生活のように宣伝される田舎暮らし。しかし、よく調べると田舎暮らしに馴染めず、2年以内に3分の2以上が都会へ戻る地域もあったり、移住する人数自体が少ないなどで、実際に住宅を売却するのは困難なのが実情です。
こうした情報は、田舎暮らしを検討している人であれば一度は耳にしたことがあるかもしれません。こんなことを聞いては、不安を抱くのも無理はありませんし、実際に田舎の住宅を購入する人は減少してきでいます。
それでも、「すぐに購入するのは怖いけど賃貸で試してみたい」という方に向けて貸して、気に入ったら買ってもらうという方法があります。田舎暮らしを考える人への心理的な負担が小さく、家族全員の積極的な同意がなくても移住できる確率が大きく上がります。
貸す側からすると、人が住むことで多少傷みがあっても特定空き家に指定されることがなくなりますから、修繕費等の負担があるとはいえ、賃貸が成立すればリスクは小さいでしょう。
ただ、移住家族の希望に沿ってリフォームしてしまうと、買ってもらえない時に損失が発生します。もしもリフォーム条件で購入前提の賃貸契約が結べそうな場合は、「最初の○カ月は賃料0円としますので、ご自分でリフォームして下さい」と頼めばリスクは回避できます。
移住者が自分のお金でリフォームすることで愛着がわく可能性が高まりますし、「せっかく直したのだから、もう少し住んでみよう」と考えてもらえる効果があります。そうすると、結果的に定住率が上がったり、賃貸をやめてもリフォームされた建物が残るので、双方が納得できるはずです。
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1社のみに査定を依頼して売却を進めることがありますが、不動産会社によって査定額はまちまち。300万円~500万円、それ以上違うことも普通。複数社の査定を行うことは必須です。