空き家の問題は「家の相続」と密接に関係している
空き家問題に密接に絡む「家の相続」
空き家発生の一番の原因~相続の発生
空き家の発生原因として最も大きな割合を示しているのが相続です。
国土交通省による平成26年空家実態調査で、空家となっている住宅を取得したきっかけが「相続」であるケースが52%であるということが分かっています。
調査の内容からは、空き家になっている建物を取得したのか、若しくは取得してから空き家になったのかは分かりませんが、取得の経緯としては相続」が最も大きな原因になっています。
建物が空き家となった理由として、住んでいた人の「死亡」であるケースが35%に上ることも分かっています。
この調査結果から、空き家となっている建物の取得や人が住まなくなった理由と「相続」は密接に関わっていることが分かります。
相続未登記されている空き家
空家実態調査の実施で、所在地の特定できた空き家10、905件のうち、登記簿謄本を取得したものの所有者等が特定できなかったものが1,037件、所有者等を特定し調査票を送付したが宛先不明であったものが1,927件であったことが分かっています(「空家実態調査」。
つまり登記簿が権利の現状を公示できていないものが少なくとも2964件、調査対象全体の27%に上ることを示しています。これには様々な理由が考えられますが、その中には相当程度の相続未登記物件が含まれていると考えられます。
空き家の管理問題
空家実態調査においては建物に関し、腐朽・破損の有無についても統計があり、調査対象の3.116件のうち、相続により取得した建物に何らかの形で腐朽・破損があるものが5%件となっています。
空家特措法においては、後述するとおり「特定空家等」が問題となりますので、その適正な管理が重要となってきます。空き家に関する相続手続が行われないことは、相続人にとっては当事者意識の希薄化につながり、責任の所在が相続人間であいまいになる原因となりますし、ひいては空き家の管理放棄につながり、空き家がいわゆる「特定空家」化してしまう大きな原因となります。
空き家の相続手続が進まない理由
このように、空き家に関する適正管理を進める上では相続手続を円滑に行うことが重要となりますが、手続がスムーズに進まない理由として、
- 数代にわたり相続未登記であり、当事者が多数
- 遺産分割協議が難航
- 相続人の判断能力の問題
- 相続人の一部が行方不明になっている場合
上記などの問題が考えられます。これらの問題を解決し、登記手続につなげていくことが空き家問題への取組を円滑にしていくためのカギとなります。それぞれ遺産分割調停の申立て、成年後見制度等の活用、不在者財産管理
人制度の利用等、司法書士が法的手続に関与し問題を解決することが期待されています。
これからの課題
前述の空家実態調査では,人が住まなくなってから3年以上経っている空き家が約70%,昭和55年よりも前に建てられた空き家が約68%,空き家の現在の所有者の約70%が60歳以上であることが分かっています。将来に向けて,高齢の方が所有している,利用可能性及び価値ともに低くなっている建物を次の世代に承継するための方策が課題になると思われます。また,維持するためのコストと手間だけがかかり続けることを踏まえれば,相続放棄により管理すべき当事者がいないが,相続財産管理制度の利用も難しいようなケースに対応すべく,受け皿となる制度作りも検討すべき課題であると考えられます。
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