相続した空き家を「売る」「売らない」「相続放棄」のいずれかで選ぶ
人が住まなくなった親の家を次世代のために有効に活用する、といってもそもそも、有効活用の方法にはどういったものがあるのか、その中で自分の親の家にベストな方法はどれか、それを実行するうえでの問題点とは何か、といったことがわからない、という方々が多数いらっしゃるのではないでしょうか。
大人になってからも、これまでなかったことはどうしていいか知識がない人もいるかと思います。そこで、有効活用方法の全体像を俯瞰してみてはいかがでしょうか。
上のチャート図がほぼ空き家の有効活用方法の全てです。チャートにすると割とシンプルに考えることができるようになります。
できることはこれだけ、この中からよりよい方法を選ぶだけということがわかれば、どうすればいいか分かってきます。
「売る」か「売らない」か「相続放棄」かが最初の分岐点
不動産のプロでない方にとって一番簡単でスムーズな有効活用方法は、親の家に暮してくれる別の家族に向けて「売却する」ことです。「売る」と決めたら、可能な限り早く、高く売ることを検討します。
これは住宅の売却に関する問題となります。「売却する」にもいくつものやり方があります。
まだ十分住める家であったとしたら「中古住宅」、古いけれども全く住めないわけではない家なら、住めるかどうかは買い手に判断してもらう「古家付き土地」、明らかにこれは住めないというなら更地にして「土地」として売る、というやり方などです。
売却したくても「売却できない」場合の活用方法
「売る」と決めたにもかかわらず「売れない」という現実に直面することもあります。
そのような時の選択肢は2つです。ひとつは、やむを得ず「保有する」という消極的選択です。家のまま、または更地にして「保有する」ことになりますが、更地にすると、固定資産税が6倍になってしまいます。
土地、不動産を自治体への寄付する
そこでもうひとつの選択肢が自治体などへ「寄付する」ということになります。
ただし、空き家の増加に伴い、無条件にどんな家・土地でも引き取ってくれません。
なぜ、自治体が不動産の寄付に積極的ではないかというと、固定資産税は自治体にとって大事な財源なので、自らの資産にしても仕方がないという側面もあります。
たとえば、自治体では、次のような条件で土地の寄付の相談を受けています。
- 「ただし、所有権者全員が寄付に対して異議のないこと」
- 「隣地との境界について、明確な境界杭等があり、隣地所有者の同意を受けていること」
- 「原則、更地であること」
などの条件がありますが、これはほんの一部で、必要な書類などを含めると更に煩雑な部分がでてきます。
もし、お住いの自治体に不動産の寄付を申し出たい場合は、窓口に問い合わせてみましょう。
売却しない場合の4つの選択肢
「売却しない」ことを決めた場合の選択肢は4つあります。
- 貸す
- アパート・マンション経営する
- そのまま所有する
- 自分で使う
「売らない」選択の1つ目「貸す」には2つのパターンがあります。
ひとつ目は親の家に住んでくれる別の家族に「貸す」ことです。可能な限り早く、高く貸すために家をリフォームするかどうかの間題が出てきます。
築後30年超の古い家のケースでは、台所、浴室、トイレなどの水回り設備の交換、傷んだ床や外壁の修復などに200万円以上かかってしまう場合もあり、家賃を原資にして改修することは難しく、、現実的ではありません。それほど手を入れずに貸し出せる、築年数の浅い家に向く活用方法です。便利な立地でないと、借り手は直ぐには見つからないでしょう。
もう一つのパターンは「更地」にして土地を貸すことです。資材置き場や駐車場などが活用方法の一例ですが、とにかく、その土地を活用したいという需要者ありきなので、これも賃貸についての問題といえるでしょう。
マンション、アパートに建て替えて「賃貸経営」という選択肢も
「売却しない」選択の2つ目はマンション、アパートなどを新たに建てて貸すという「賃貸経営」です。
親の家をいったん更地にして事業用の建物、例えばマンションやアパートを建てる、機械式の駐車場・駐輪場にするなどにして貸し出すという方法です。このやり方は8割がたこうした事業が成り立つ立地条件と事業に見合った土地の広さなどが、決め手となります。
さらに事業費用として、新しい建物の建設費用などのための資金が必要で、多額のローンを組むことになります。10~30年といった長い期間での事業収支を見越ししながら、採算が合うか合わないかを判断しなければならず、難易度の高い活用方法ではあります。
売らすに「保有している」という選択肢は管理・保全策が問題
「売らない」選択の3つ目はそのまま「持っている」ということです。家・土地のまま、または更地にして持っていることになります。
けれども、迷惑な空き家・空き地にしないために家・土地の保全策が問題となります。
4つ目は「自分のために活用する」という選択です。自宅として住む、別荘としてときどき利用する、物置にする、などが主な活用方法でしょう。
売却することも貸すもできないなら「相続放棄」という選択も
誰が見ても、親の家の有効活用の方法が見当たらない。「お荷物を抱え込むのはどうしても避けたい」という方のための最後の選択は「相続放棄」です。
空き家の所有者の相続人の全員が相続放棄をすれば、所有者はいなくなり、国庫に帰属することになります。
ただし、相続放棄が認められたとしても、所有権のない不動産は国庫に入ることはできないので、名義上の所有者は相続人のままです。
相続財産の管理責任の問題も出てくるので、詳しいことは司法書士または行政書士に相談してみましょう。
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