今住んでいる土地と建物を売却する時の税金
目次
土地と建物を売却する時の税金
不動産の購入・所有した時に手数料や税金がかかるように、不動産の売却時にも税金がかかります。「売却が決まった後に調べればいいや」と思うかも知れませんが、不動産の譲渡所得には様々な特例などありますので、売却する前に税金について知っておく必要があります。 とは言え、譲渡所得や課税譲渡所得などを算出する計算式は、一般の人には非常に分かりにくくなっています。 ここでは、一般的に知っておきたい点をなるべく分かりやすく説明しています。 完全に理解できる必要はありませんので、概要を頭に入れておきましょう。実務は不動産会社や税理士に任せることになります。不動産を売却した利益は譲渡所得になる
不動産(土地を含む)を売却した際の利益を「譲渡所得」になり、譲渡所得には「所得税」・「住民税」が課税されます。 「譲渡所得」と、それに課せられる「課税譲渡所得」の計算式は下記のようになります。- 譲渡所得=譲渡価格-(取得費十売却費用)
- 課税譲渡所得=譲渡収入-特別控除
税金を控除できる特例措置を活用する場合
譲渡所得3000万円控除できる特例
ここでは買い換えに当てはまらない居住用の土地と建物を売るときの特例について説明します。 自分が住んでいる居住用の土地・建物を売ったときは、所有期間に関係なく譲渡所得から3000万円を控除できます。 取得してから5年以内であっても3000万円の特別控除は適用されます。この特別控除の対象になるのは、自分が住んでいる居住用家屋やその敷地(マンションや借地権を含みます)を譲渡したときです。 なお、以前に住んでいた家屋や敷地の場合には、住まなくなった日から3年が経過した年の12月31日までに譲渡する必要があります。もしも、平成27年の6月15日に引っ越して住まなくなったとしたら、平成30年の12月31日までに譲渡すれば特別控除が適用されます。 居住用の土地・建物を譲渡して譲渡益が生じたときの譲渡所得金額の計算は次の式のようになります。- 譲渡所得=譲渡収入-(取得費十譲渡費用)-特別控除
- 7000万円-(4000万円+350万円)-3000万円=-350万円
所有期聞が10年超の税率の軽減措置
居住用の土地・建物の譲渡については、所有期聞が10年を超えると、所得税の税率が軽減される措置があります。 譲渡した年の1月1日時点で家屋や敷地の所有期聞が10年を超えていると、譲渡益から3000万円の特別控除を差し引いたあとの課税長期譲渡所得に対して、6000万円までの部分についての税率が、所得税は10%、住民税は4%と軽減されます。 例)30年前に8000万円で購入した1戸建てが、1億5000万円で売れたて譲渡費用が500万円かかった場合- 1億5000万円-(8000万円+500万円)-3000万円=3500万円
土地・建物の所有期聞が10年以下の場合はどうするか?
3000万円の特別控除は確定申告をすることで適用される
居住している土地・建物の敷地の一部を譲渡したとき
①建物の建っていない部分の敷地を譲渡した場合
3000万円の特別控除は居住用の土地・建物を譲渡したときに適用されます。ところがこの場合は、建物が建っていない土地だけを譲渡するので、居住用財産の譲渡とはなりません。たんに土地の譲渡ということなので、特例は適用されません。②建物が建っている部分の敷地を全部譲渡した場合
土地と建物を一括して譲渡するということであれば、居住用の土地・建物の譲渡になるので、3000万円の特別控除の適用は受けられます。また、更地にしたほうが売りやすいからと、建物を取り壊して譲渡する場合でも、特例の適用は受けることができます。 ただし、譲渡する土地に建っている建物がまだ使えるからといって、譲渡しない部分の土地にそのまま移動させたりする(曳家といいます)と、建物は残っていることになるので、特例の適用を受けることはできません。③建物が建っている敷地の一部を譲渡した場合
この場合は、建物の一部を取り壊して譲渡することになりますね。建物の一部を取り壊して譲渡するときは、そのままで居住用の建物として使えるかどうかが判断基準となります。 居住用の建物として使うためには、出入りできる玄関があり、トイレや台所など生活に必要な設備あり、居室があるというのが一般的です。玄関と居室はあるけどトイレや台所はなかったり、玄関やトイレ、台所はあるけど居室がないというのでは、居住用の建物とはいえません。 常識的に考えて、譲渡する土地に建っている取り壊さなかった建物の部分が、居住用に適しているということであれば特例の適用は受けることができますし、適していなければ特例の適用は受けることができません。共有名義の土地・建物を譲渡したとき
土地と建物を夫婦で共有していたり、2世帯住宅を建てて親子で共有している場合があります。このような共有している居住用の土地・建物を譲渡したときは、1人につき3000万円の控除を受けることができます。 たとえば、8000万円で買った土地と建物が、2倍のl億6000万円で売れて譲渡益が7500万円だったとしましょう(譲渡費用が500万円かかったとします)。夫と妻の持分はそれぞれ55%、45%だとすると、夫の譲渡益は4125万円、妻の譲渡益は3375万円となります。ここから夫と妻はそれぞれ3000万円の特別控除が適用されるので、課税譲渡所得は夫が1125万円、妻が375万円となります。 共有しているといっても、土地は夫が、建物は妻がというように、土地と建物で所有者がわかれているときは、特別控除は2人あわせて3000万円までとなります。 7500万円の譲渡益がでた場合、その内訳は夫の所有する土地が7000万円、妻の所有する建物が500万円だったとしたら、どうなるのでしょうか。 3000万円の特別控除額を差し引く順序は、まず建物の所有者で、次いで土地の所有者となります。 したがって、土地の所有者が受けることができる特別控除額は、3000万円から建物の所有者が受ける特別控除を差し引いた残りの額になります。 この例では、まず妻の譲渡所得から3000万円を差し引きます。500万円から3000万円を差し引くので妻の課税譲渡所得は「ゼロ」です。特別控除の残りの枠は2500万円あるので、次に、夫の譲渡所得7000万円から2500万円を差し引いて、4500万円が課税譲渡所得となります。この結果、妻には所得税がかかりませんが、夫は4500万円に対して所得税がかかります。 同じ共有といっても、土地と建物を別々に所有するよりも、土地・建物をそれぞれ共有する方が、特別控除を考えると節税になります。店舗併用住宅の土地・建物のとき
建物の一部をお屈として使い、残りを居住用としているというケースもあります。こうした住宅を庖舗併用住宅といいます。店じまいして、店舗併用住宅の建物と土地を譲渡するというときにはどうなるのでしょうか。 居住用財産を譲渡するときに特例が適用されるのは、居住用の部分にかぎられます。したがって、店舗併用住宅を譲渡するときは、建物全体の面積の中に占める居住用面積の比率を計算し、その比率で按分します。土地についても同じことです。 たとえば、建物の面積が120㎡で、居住部分が60㎡、共用部分30㎡、店舗部分が30㎡だとすると、居住用の面積は向町となり全体の3分の2になります。この土地と建物を売った譲渡益が5000万円だとすると、居住用財産の譲渡益は3分の2の3333万円となります(土地もこの割合とします)。この譲渡益から特例の3000万円を控除できるので、課税譲渡所得は333万円となります。5000万円から3333万円を差し引いた1667万円は、居住していない土地・建物の譲渡益となります。 なお、お店の比率が小さくて、居住用として使っていた部分が全体の90%以上あるときは、全部を居住用財産とみなして、3000万円控除の特例を受けることができます。自分が住んでいる居住用財産を売ると、所有期間に関係なく譲渡所得から3000万円を控除できるのですが、それではどのくらいの期間住んでいると居住用財産といえるのでしょうか。実は、この期間は決められていません。 サラリーマンの場合、1戸建て住宅やマンションを購入して住んだら、1年もしないうちに転勤になることもあります。こうした場合は、明らかに「居住していた」といえます。ただ、住もうと思って購入したはいいけど、完成前に転勤になってしまったというような場合は、実際に住むことがなかったわけですから、居住用とはいうことができません。一括査定で【売りたい家】の『査定額』がすぐ分かる
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