アパート・マンションの資産価値を減らさないための建物診断



「安全」が借り主へのアピールポイントになる時代

耐震偽装が社会問題化したことを受け、建物の安全性を重視して借りる物件を選ぶ人が増えています。

その一方、犯罪手口が巧妙化・悪質化するにつれて、建物のセキュリティの充実を選択基準にあげる人も増えています。

すでにオートロックや防犯カメラ・センサーライトの設置は一般化じていますし、最近ではフェイスキー(顔で認識)、虹彩認証システム(瞳のなかにある虹彩を利用した入退室管理システム)、血流認証システム(血管形状パターンを利用)など最新鋭のセキュリティ・システムが続々と実用化されています。

しかし、せっかく最先端のセキュリティ・システムを備えていても、建物自体の構造に問題があれば意味がありません。

一般に住宅に関しては、セキュリティは賃貸マンションよりも分譲マンションのほうが充実しているようです。人口減少時代が到来し、かぎられた住宅需要を分譲と賃貸とで取り合う形になるだけに、賃貸マンションのオーナーはせめて建物の安全性を借主にアピールするべきでしょう。

建物に違法性がないことを確認し、「安全」をセールスポイントにする上でも、やはり専門家に建物の調査を依頼することをお勧めします。建物診断の調査結果がよければ、入居率の維持・上昇も期待できます。

実際、都内のある賃貸マンションオーナーが入居者に調査結果をみせたところ、入居者はみな安心し、「安全だから長く借りていたい」と喜んでいただけたそうです。

このように、建物の維持・管理に対するオーナーの熱意は、入居者にも伝わります。そして、収益の維持・拡大にも必ずつながるはずです。

診断結果が悪げれば、最善の対策を策定

反対に、建物診断の調査結果があまり良くなかった場合には、当然なんらかの対策を講じることになります。

耐震性やアスベストなどでオーナーの責任が問われる時代ですから、なにかが起こってから対処するのでは遅すぎます。賃貸経営者として、リスク管理の徹底が求められる時代になっているのです。

建物診断では、道法性、予想修繕費、耐震性、アスベスト、土壌汚染等の調査等を行ないます。改修などが必要と判断された場合には予想修繕費も算出してくれますので、今後の建物の維持費を大まかに把握することができます。

オーナーにとって経済的に建物の所有を継続できる程度の予想修繕費であれば、建物診断の結果にしたがって長期修繕計画をたて、ひとつずつ実行していくことになります。

建物の維持・管理コストの算出と平行して、資産価値の調査も必要です。不動産の時価、不動産の需給動向、賃料動向を調査し、今後の収益見通しをたてます。そして、収益と維持・管理コストのバランスを勘案し、改装・改築・建て替え、売却、買い替えなど最善の対策を策定します。

このように、建物診断は資産価値の保全・優良化の第一歩なのです。所有している土地・建物の有効活用を続けるかどうか、もう一度考え直すきっかけにもなるでしょう。有効活用をやめることが資産防衛につながる場合もあるのです。

建物診断で建物の安全性がみえてくる

建物診断は、建物を安全・快適に、長く使用するために行なうもので、いわば建物の健康診断です。人聞が人間ドックなどで健康状態を把握するように、建物も建物診断で現状を認識しておけば、中長期経営方針が決めやすくなります。

そして、調査結果は不具合対応、機能・性能の向上、保全・改修計画の立案、資産価値調査のための現状把握に使用できます。

調査対象は、躯体(非木造)、防水、外装、内装、設備、建築環境の六項目です。通常、耐震診断は、躯体関係の診断項目に含まれています。

なお、耐震診断は、地震に対する建物の強さを診断するもので、建物診断とは、建物の総合的な診断を意味します。

建物診断①躯体(非木造)

躯体の診断対象は、構造体となるコンクリートと鉄筋や鉄骨です。コンクリートに関しては、強度、ひび割れ、中性化を調べます。鉄筋・鉄骨についてはサピ・腐食の進行具合や位置を調査します。

マンションの耐久性はコンクリートの強度や施工方法に大きく左右されます。コンクリートは元来アルカリ性が強く、鉄筋をサピから守ることができます。しかし、時間の経過とともに中性化が進みます。

中性化すると、コンクリートに触れている鉄筋が錆びていきますが、鉄筋が錆びるとコンクリートのひび割れ原因となります。ひび割れから外気などが侵入してくると、ますま

す鉄筋が錆びていき、コンクリートもどんどん壊れていくという悪循環に陥ってしまいます。

また、鉄筋を適度な厚さのコンクリートで覆っていないと、鉄筋の腐食の原因となります。

このように、躯体の診断では、建物の寿命を決めるコンクリートと鉄筋の劣化の度合いをチェックします。

具体的な重要診断項目

  • コンクリートの圧縮強度は設計基準以上か
  • コンクリートにひび割れが生じていないか
  • 床コンクリートにたわみが生じていないか
  • コンクリートの中性化現象はみられないか
  • 鉄筋コンクリート造で鉄筋腐食の現象はみられないか
  • 鉄骨造で柱・梁等の結合状況は良いか
  • 建物内に設置された機械の稼働時に鉄骨造建物が振動しないか
  • コンクリートの床スラブが歩行時に振動しないか

耐震診断項目

  • 鉄筋コンクリート造建物は耐震基準を満たしているか
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造建物は耐震基準を満たしているか
  • 鉄骨造建物は耐震基準を満たしているか

なお、耐震診断は、構造体と非構造体の診断がありますが、構造体だけの診断が一般的です。

建物診断②防水

防水の診断対象は材料と納まりです。アスファルト、シート、シーリング、形状について調べます。調査部位は屋上が中心になります。

防水の重要診断項目

  • 屋上防水層から漏水していないか
  • 保護コンクリートにひび割れなどの劣化箇所はないか
  • アスファルト防水層に割れや膨れなどの劣化箇所はないか
  • シート防水層に剥離が生じていないか
  • ウレタン塗膜防水層の表面が劣化していないか
  • ルーフドレイン廻りに亀裂はないか
  • シート防水層に剥離が生じていないか
  • ウレタン塗膜防水層の表面が劣化していないか
  • ルーフドレイン廻りに亀裂はないか

建物診断③外装

外装の診断対象は材料と工法です。吹付け材をチェックすることで、アスベスト含有の有無もわかります。

外装関連の重要診断項目

  • 目地シーリング材は劣化していないか
  • 外装塗り仕上げ材にチョlキング(白亜化)や剥がれが生じていないか
  • 外装タイルに浮きや剥落が生じていないか
  • 外装タイルは耐震性能を満たしているか
  • 外装アルミ金属パネルに点食が発生していないか
  • 外装ALCパネルにひび割れが生じていないか
  • 外装ALCパネルは耐震性能を満たしているか

建物診断④内装

内装は、部位と材料について調べます。

内装関係の重点診断項目

  • 集合住宅の居室内の天井や壁にカピや結露が発生していないか
  • 非構造材である天井および床材が耐震性能を満たしているか

建物診断⑤設備

設備に関しては、電気、衛生、空調・換気、ガス設備、制御設備と設備全般にわたって診断します。

電気設備については、定期点検の有無、照明器具・配線、誘導等・非常照明、電灯コンセント等を調べます。

また、衛生、空調・換気、ガス設備はそれぞれ機器(器具)と配管を調べます。さらに、制御設備は器具、盤類、区画について調べます。

設備関係の重点診断項目

  • 電気・衛生・空調設備は基本性能を満たしているか
  • 照明器具に腐食などの劣化箇所はないか
  • コンセント類に劣化箇所はないか
  • 配管に詰まりゃ腐食などの不具合箇所はないか
  • 配管の支持力が耐震性能を満たしているか

耐震診断と耐震リスク診断も可能

耐震診断は、建物の耐震性能を把握し、耐震補強計画の判断資料とするために行なうものです。一般に耐震診断と呼ばれるのは、構造材の診断のことです。

診断方法は、構造設計図・構造計算書をもとに、現地調査を行なって、耐震性能を算定します。

少し専門的になりますが、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の建物に関しては、耐震診断基準・同指針などによる方法、保有水平耐力を算出する方法、地震応答解析を行なう方法という三つの算定方法があります。

鉄骨造の建物では、耐震診断基準・同指針などによる方法、保有水平耐力を算出する方法の二つになります。非構造材の耐震診断では、軽鉄下地天井(在来工法)、システム天井、フリーアクセスフロアを診断します。

一方、その建物が将来地震によって受ける最大被害額を推定するのが耐震リスク診断(PML値の算定)です。耐震リスクは場所、地盤、構造設計図、構造計算書をもとに算定します。

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