相続した実家の「空き家」を売却する前に知っておくべき事

土地の活用

なかなか売れない郊外の家を売るには

7軒に1軒は空き家という現実、売れない郊外の家

全国の空き家は、2013年10月時点で820万戸、全国の住宅約6063万戸の13%強であることが総務省の調査で明らかとなっています。これは、ほぽ7軒に1軒が空き家ということになります。いまや郊外だけでなく都市部でも増え続けている空き家は、社会問題といった感じの漠然としたものではなく、私たちの身近に迫りつつある問題と言えます。

不動産需要が比較的高い都市部にある家や、快適な居住環境を満たす優良物件ならともかく、ごく普通の一般住宅の売却はなかなか容易ではありません。

特に、郊外にある親の持ち家などは、買い手が少なく売却をあきらめるようなケースさえあります。

日本全国で空き家が増え続けている現実がそこにあるのです。そのような状況にあっても、過疎地に建つ古い家の売却に成功した人もいるので、絶対に売れないということではありません。

郊外の場合、不動産の購入者の大半は、地元の人、あるいは、地元に縁がある人です。地場には地場での需要があるのです。ここで要点となるのが、郊外における人脈です。

売りたいと思っている空き家が、進学や就職のために離れた生家なら、その土地に馴染みの深いかつての同級生や知人、親戚がいるはずです。
そうしたネットワークを使えば、郊外であっても需要を見付け出せるチャンスが高くなるはずです。

郊外の家は、良い値がつかなくても持ち続けるよりは得

郊外の家は、良い値がつかなくても持ち続けるよりは得

郊外の家は比較的広さに余裕があるので、都市部の半値として見積もっても、それなりの価格を期待できそうなものですが、現実にはそうなりません。土地の評価に使われる路線価などが、そのまま売買価格になることはないのです。

実際の売却価格はケースによって決まるものなので、地域によって3分の1、あるいは10分の1ということさえあります。売るのを躊躇って、空き家のままにしておくとしても、人が住まなくなった家は傷みやすくなります。

空き家だからとはいえ、荒れ放題にしておけば近所迷惑になりますし、防犯、防災から見ても問題となります。
誰も住まなくなった郊外の空き家を定期的に見回り、維持管理を請け負うサービスも増えていますが、利用するには相応の料金を支払っていかなければなりません。

経年劣化による建物の損壊、あるいは地震による倒壊を防ぐために、補修工事も必要となります。いっそのこと更地にするにしても、家屋の解体に費用がかかりますし、更地にすると地域によっては固定資産税額が何倍にも跳ね上がってしまうこともあるのです。

路線価相当で買ってくれる買い手が現われるまで待つとしても、時間がかかれば固定資産税をはじめとした税金や維持費用などがかさんでいき、その間も建物は古くなって価値が下がっていくのです。そのため、安くても早めに売ったほうが結果として得ということもあります。空き家を維持することは、経済的な問題でもあるのです。

売却以外で空き家を有効活用するには

売却できないなら賃貸がある

郊外にある親の持ち家が売れないといった理由には、売却したいのに適切な買い手が見付からないということがあります。希望する値段が付かず、適正に評価されるまで空き家にしているというケースで、全国的に増えている空き家問題のほとんどは、こうした理由によるものと思われます。

もちろんそれだけではなく、生まれ育った家への愛着があって売るのを躊躇っている人や、いつかは故郷に戻りたいと思って生家を残している人などもいるでしょう。

いずれにしても、空き家にかかる固定資産税や、建物を維持管理するための費用を支払っていかなければなりません。空き家のままにしておくことは、人の迷惑になるのはもちろんですが、何より自分自身にとって経済的な損失なのです。

売れない物件を賃貸に出すことで活用する方法が注目されています。
最近では郊外の住宅が、住居としてではなくグループホームなどの施設として借り上げられているケースも増えています。

良い買い手が現われるまで、あるいはその他の用途が決まるまでの「つなぎ」として、親の家を貸しておくという方法も選択肢のひとつと言えます。

合わせて読みたい記事

空き家になった実家の有効活用方法

地方自治体や関連団体の支援もある

親の家を賃貸に出すといっても、借り手さえ見付かればそれで解決というわけではありません。大切な家を預けておくわけですから、貸し出す相手もきちんと選ばなくてはなりません。

入居者の管理や建物のメンテナンスといった業務は、仲介者である不動産会社に一任するのが一般的です。
しかし、家主と借家人では、家に対する思い入れの深さも違うので、遠隔地にある親の家を貸し出すといった場合では、家の使われ方に不安を覚える人もいるでしょう。

親の家を貸し出すときには、信頼できる不動産会社を選び、後々トラブルで悩まされないように賃貸借の契約書をきちんとまとめることが肝心です。
また、近年では住宅の活用を支援する制度も整ってきています。

一般社団法人移住・住みかえ支援機構の「マイホーム借上げ制度」は、地方公共団体と連携した家の貸し出し制度です。こうした支援サービスを活用すれば、家を貸し出す側としても安心できます。

親の家を売る前に知らなきゃ売れない不動産の常識

「登記」や「境界標」が不備な不動産には誰も手をつけられない

「登記」や「境界標」が不備な不動産には誰も手をつけられない

不動産を売却するには、不動産の現況と権利関係を記録した「登記済権利証」や「登記識別情報」が必要だ。登記とは、どこの土地建物がどれだけの面積で、誰の所有か、権利関係を公式に明示したものです。土地建物の場所、形状、所有者を確定することは、不動産取引にとって欠かすことができません。

しかし、不動産を売却しようと登記簿を見たら、所有者の名義は数十年も前に死んだ祖父のままだったということも珍しくありません。祖父から父への相続の際に不動産の所有者の名義変更が行われてませんでした。

こういうケースでは所有者の名義を変更しないと不動産は売却不可能。名義変更するには、祖父の代にさかのぼって相続手続きを行う必要があります。

不動産取引の現場では、所有者名義の問題以上に隣家との境界があいまいでトラブルになることも多いです。昔から境界があいまいだったというケースもあれば、過去に定めた境界を示す「境界標」が、自然災害や経年劣化により消滅して、あいまいになってしまった場合もあります。まれに故意に移動されていることだってあります。

境界標というのは、取得した土地について、自分が利用できる権利の範囲を明確にするために設置するものです。境界標がない、あるいは不正確なままでは、土地の面積・形状が確定できないので、やはり不動産取引を進めることはできない。親の家は古くから建っていることが多いので、境界標が正しく設置されているかどうかを確認しておくのは大切なことです。

こうした不動産の権利関係を是正するには、当事者間の交渉を要する場合もあるので、できるだけ早い段階で確認をすませ、解決のための話し合いが必要なら、これも早期に取りかかるべきです。

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